分かりやすい!M&A会社売却までの流れ〜初期ヒアリングから案件化まで〜

分かりやすい!M&A会社売却までの流れ〜初期ヒアリングから案件化まで〜

会社を売却するまでに早くても3力月、通常であれば半年以上かかってきますが、その過程までにさまざまなステップを踏む必要があります。

今回は会社の売却(M&A)を検討し始めてから、売却案件化するまでの流れを見ていきましょう。

まず、M&Aにおける具体的な手順は〔図表1〕に示したとおりです。

〔図表1〕M&A会社売却までの流れ

各ステップについて簡単に説明をしていきます。

なお、売却までの流れについては、売り手企業および買い手企業の両者から仲介の委任を受ける仲介形式を前提に説明をしていきます。

場合によって、売り手企業および買い手企業のそれぞれにアドバイザーが就任して、M&Aを進めていくケースもありますが、手順についてはほとんど一緒です。

(1)個別相談・提携仲介契約の締結

まずは会社を売却したいと考え始めたら、インターネットなどのM&A仲介サイトを見て相談します。

直接M&A仲介会社へ問い合わせするのもありですが、現在M&A仲介会社の中には様々な仲介会社が存在し、それぞれ得意な業種や、扱う売却金額によって対応できる会社や対応できない会社が存在します。

私たちがオススメしているのは、一度の入力で複数のM&A仲介会社から、相談や見積もりを依頼できるM&A一括見積の窓口のようなサイトを活用して各社の意見を聞くことをオススメしております。

それでは具体的な個別相談、特に売り手企業に対する個別相談の内容について触れていきます。

問題点のヒアリング

初期のヒアリング段階では、十分な下調べを行い、会社譲渡の意思をすでに固めている社長はむしろほとんどおらず、大多数は事業承継問題に問して漠然とした不安を抱えて、問題解決の選択肢の1つとして話を聞きたいというスタンスです。

そのため、案件を進めていくための問題点について十分なヒアリングをすることが必要です。

M&Aのメリット・デメリットの説明

ヒアリングの結果、M&Aの提案が可能であった場合には、具体的にM&Aに関するメリット・デメリットを説明します。

M&Aに関するメリット・デメリットは他のページで詳細を説明しますが、その内容を念頭におきながら、果たしてM&Aが最善の方法かどうかをお互いに確認していきます。

(1)従業員雇用継続のメリット

例えば、清算・廃業しか頭にない経営者の場合には、M&Aによって従業員の雇用継続と会社の存続が可能になることを説明することから始めます。

(2)創業者利潤獲得のメリット(株式の譲渡対価の獲得)

経営者は「非上場会社の株式は流通していないため価値がない」と思っていることも少なくありません。

ほとんどの場合、清算・廃業よりも株式譲渡のほうが手取り額が多くなるので、経済的メリットという観点からもM&Aは有利であることが説明できます。

概算の株価や手取り額を事前に知りたいという社長もいるので、そのような場合は、株価算定のみを先に行ったり、生産・廃業した場合との手取り額を比較した資料を事前に趣味レーションすることも意思決定に役立ちます。

(3)企業の存続と発展のメリット

清算・廃業を選択するとその時点で会社の歴史に幕を閉じることになります。

創業社長にとっては自分が創業して育ててきた会社であり、二代目・三代目の社長にとっては先代から受け継ぎ守ってきた会社であり、いずれにしても会社の長い歴史に幕を閉じるということは心情的に寂しいものになります。

また、存在意義のある企業が清算・廃業することは社会的損失も甚大です。

取引先や仕入先においても、会社がなくなってしまえば新たな取引先を探さなくてはならない上、相互依存度が大きい場合は連鎖倒産を引き起こしてしまう可能性もあります。

更に影響が大きいのは、従業員の雇用が失われてしまうことです。

M&Aを選択すれば、新たなオーナーのもとで企業の存続とさらなる発展が期待できます。

通常、経営権を譲り受ける会社は、譲渡する会社よりも経営基盤が安定した会社であることが多いため、経営の安定や両社間のシナジー効果などにより、一層の発展を期待することができます。

この段階で金融機関の担当者が注意すべき点としては、優越的地位の濫用と捉えられかねないような言い回しは避けるべきだということです。

例えば「後継者不在のままでM&A取引も行わないということになると、今後の取引も考えねばなりません」などと、M&Aを強要するような発言と捉えられる内容にならないように注意しましょ
う。

なお、ここまでの商談に関しては、主に金融機関の支店担当者が行う仕事になります。

具体的なM&Aのニーズがあるということになれば、本部のM&A担当者などが担当することになります。

支店の担当者は、普段から取引先の事業承継問題に関心を持ち、M&Aに興味があるという会社のニーズ発掘を行ってください。

実現可能性の議論

M&Aのメリットについて十分理解していただいた後、次のステップとして、M&Aの実現可能性がテーマになります。

ヒアリングを進めるうち、理由はさまざまですが、残念ながら実現可能性が低いと判断せざるをえないケースもあります。

M&A成立の可能性が低い案件としては、業績不振の会社(連続欠損・債務超過)や、零細規模の個人商店などが挙げられます。

業績不振の会社は、経営者が代わることによって再生できる場合もあるため一概にM& A成立 の可能 性がないとはいえませんが、 赤字・債務超過では株価 がつかず 、マイナスの株価となるため、マイナスを軽減するために債権者の債権放棄を実行したり、社長からの役員借入金を放棄したり、あるいは優良な事業や資産のみを譲渡する事業譲渡スキ ーム の検討をするな どの 工夫 が必要 とな りま す。

また 、社長 と2〜3名程度の従業員で経営している会社については、社長個人が株式を譲渡して退任したら組織として成り立たないことがほとんどで、買い手企業とのシナジーを発揮できないという点において多くのケースがM& Aには馴染みません。

M&Aをビジネスとして行う以上、実現可能性についてある程度の判断基準をもっておくことは必要です。

売り手企 業の社長 は一大決心をして相談しています。

思い入れが 強い分、M& A実現に向けて仲介機関に依頼するまでにもかなりの精神的負担を余儀なくされ、何年もの時間をかけて実現しなかったときの落胆は当然、大きいものがあります。

それだけに、初期段階でM& Aの実現可能性を真剣に検討せずに安易に受託し、希望だけを与えるようなことは避けなければなりません。

なお、実現可能性の可否の商談は、金融機関においては、本部担当者もしくは提携するM& Aアドバイザーが対応することになるかと思います。

実現可能性の判断においては、M&A取引の経験が必要になってくるからです。

提携仲介契約および手数料

実現可能性が確認できた後、M&A仲介に伴う提携仲介契約(またはアドバイザリー契約 )の内容と手数料にっいて説明します。

この提携仲介契約は売り手企業と仲介機関の間で締結するもので、企業評価、案件化、相手探し(マッチング)など、売り手企業に対し仲介機関が提供するサ ビスについての内容が盛り込まれています。

内容をよく説明し、質問を受けたときは適切に答えて正しく理解してもらうことが重要です。

誤解を招きやすいポイント

提携仲介契約の内容と手数料について説明し、納得いただいた後は、いよいよ提携仲介契 約を締結 し、M& Aの実務 が本格的にスター卜しますが、その前に次の3点について再確認しておかなくてはなりません。

(1)秘密保持についての再確認

「M&Aは秘密保持に始まって秘密保持に終わる」といわれます”案件進行中にM&Aの事実が外部に漏れると、ひとまずその時点で検討を中止し事態の収拾に努めなければならなくなるため、秘密保持には細心の注意を払う必要があります。

ここで、M&Aの仲介麵が秘密保持を厳守することは当然ですが、譲受けを検討する会社も、秘密保持契約を順守できなければ今後M&Aの案件の提案を受けることができなくなるでしょう。

場合によっては損害賠償の対象となるため、慎重に対応していただきます。

しかし、意外に多いのが売り手企業の社長から秘密が漏れM&Aの交渉が中断するケースです。

M&Aの交渉が進み、その実現がほぼ確実となっていくにつれて気が緩んでしまったり、自分の選択は正しかったのかどうか誰かに相談したくなる心理が働いて、つい第三者に話をしてしまったりすることが多いようです。

最終契約締結まで、どんな原因で交渉が決裂するかわかりません。

もし M&Aが不成立に終わった場合には、また新しい相手先が見つかるまで通常業務を続けていかな
ければなりませんので、いつでも後戻りできるよう、秘密保持には十分に留意する必要があります。

この点、仲介者としては提携仲介契約の締結段階において売り手企業に特に入念にお伝えしておく義務があると考えます。

(2)短期間のM&Aは保証できるものではない

中小企業の場合はそれぞれの企業に特色があり、それゆえ仲介機関も売り手企業の社長も予想できなかった意外な要素が交渉進展の妨げとなる場合があります。

M&Aは個別性が強く、どんなことがM&A交渉の障害となるか、どれだけの経験を重ねても事前に正確に予測することは難しいものがあります。

このため、M&Aはある程度の時間がかかる性質のものであり、さらに相手探しは縁であることから、必ずしも売り手企業の社長がイメ ージする理想の相手が現れるとは限らない、ということを理解しておいてもらう必要があります。

実際に、最善を尽くして候補先を探索し、M&A成約に向けて努力しても、2〜3年経っても候補先に恵まれないケースもあります。

M&Aが実現するまで気を抜かずに経営を続けていただく必要があります。

(3)経営の手を抜かないようアドバイスする

(2)にも共通しますが、提携仲介契約を締結してしまうとすでに会社が売れた気になり、経営に対して真剣に取り組まなくなる社長がいます。

企業は生き物であり、社長の取組姿勢の変化は、すぐに業績へ反映されるものです。

M&Aの交渉を行うにあたって、直近の月次業績が増収増益基調の会社と、減収減益基調の会社とでは買い手企業が交渉へ臨むスタンスがまったく変わってしまうのです。

買い手企業は収益を生む会社を求めているのであり、相手が見つかった頃に業績が落ち込んでいては検討対象になりません。

交渉を有利にするためにも、M&Aという戦略を片方で走らせながら、もう一方ではこれまで以上に業績の向上と経営の拡大に注力すべきこともアドバイスしなければなりません。

(2)案件化(資料収集・企業評価・企業概要書・ロングリスト)

受託手続

個別相談においてさまざまな事項について説明した後、売り手企業の社長がM&Aを行うことを決断した場合には、提携仲介契約締結(受託)と案件化の作業に移行します。

(1)着手金

M&Aビジネスにおいては、この提携仲介契約締結の段階で着手金を請求する仲介会社があります。

※(現在、新興のM&A仲介会社などは着手金を請求せず、売買契約が完了したあとのみ、仲介手数料を請求する成約型の仲介会社も多くおります。)

例えばある大手仲介会社などは、提携仲介契約締結時には必ず企業評価料と案件化料を受領しています。(会社によって着手金を300万円〜400万円最初の段階で請求する会社もございます)

このような着手金を請求する理由は、今後発生する実費に充当するという経済的な側面もありますが、より重要なことは、数百万円の着手金を支払ってもらうことで譲渡の意思を可視化し、売り手企業の社長の譲渡意思を確認することにあります。

このような性質から、受領した着手金は返金ができません。

売り手企業の意思が不安定のままでは、交渉が進んだ段階で「やっぱりやめたい」
ということが起こり得ます。

このような状態では、まだM&A案件情報とはいえず、買い手候補の企業に情報提供できる段階にはありません。

買い手候補企業も、人や時間といった経営資源を投入して検討を行うのですから、そもそも譲渡意思がなかったものを提案していたとなると、仲介機関としても問題があるでしょう。

もちろん提携仲介契約を締結して着手金を支払うと一切後戻りはできないということではありません。

売り手企業の社長にとっては、相手先が自分の育ててきた企業を譲るのにふさわしい企業であるかをきちんと見極めて中でも、相手先を変えるという決断をしなければならないことも十分ありえます。

また、信頼できる後継者が突然現れたので、譲渡の意思を撤回するということもあるでしょう。

問題となるのは、受託した段階で企業を譲渡する意思が明確に固まっていなかったために、後から安易に譲渡意思の撤回が行われることです。

(2)受託チェック

受託手続において注意が必要なのは、案件によっては受託してよいものか迷う場合です。

具体的には、反社会的勢力の関与の懸念、多額の脱税懸念、社会保険や税金の未納、労務問題、訴訟、公害問題などを抱えているケースです。

このような場合は、株式譲渡契約書の条項でこれらの取扱いを入念に決定したとしても、紛争や訴訟に発展する可能性が高く、M&Aのような第三者との取引には馴染まないといえます。

このような案件を排除するために、受託手続きの一貫として、受託してもよい案件かどうかを管理する必要があります。

仲介会社では、事前に用意してあるチェック項目に従って確認作業をして、財務内容の分析や経営者へのヒアリング、外部情報との照合によってチェックを行います。

これらのチェック項目で問題が発生した場合には、M&Aを進める上で当該問題点を解決することが可能であるかを検討して、受託可否の判断をします。

最近では金融機関においても、広告や啓蒙活動によって既取引先企業以外からの取引依頼も増加しているので、受託時にはこのようなチェックや注意を払う必要があります。

【売り手企業へのチェック項目】

  • M& Aアド バイ ザー が専任 であ るこ と→  非専任で、多数 のア ドバ イザ ーに 委任 をし てい る場合には責任を持って提案できないため。
  • 反社会的業種でないこと→ 反社会的勢力排除のため。
  • 資金繰りに不安 がな いこ と→ 資金繰りに問題 があれば、通常のM& A取引は困難であり、資金繰りの状況を確認しながら、再生手続に入ることになります。
  • 株主・経営陣の意見衝突がないこと→ 解決できる問題もありますが、解決できない問題 を抱えている場合には、M&A取引が困難となります。
  • 組合の問題がないこと→ 労働組合があること自体は問題ないですが、通常の経営を継続するのが困難なほどに衝突が起きている場合には、M&Aを進めるのが大変困難です。
  • 多額の簿外債務がないこと→ M&A後の簿外債務の表面化によって、訴訟問題に発展する可能性が極めて高いです。
  • 経営者が信用できる人物であること→ 経営者が信用できる人物でなければ、M& A取引を進めることはできません。

【買い手企業チェック項目】

  • M&Aアドバイザーが専任であること
  • コンフリクト(利益相反)がないこと→ 特に金融機関の場合などは、エクイティ投資を行いながらも、アドバイザリー業務を提供する場合などは、コンフリクトが生じる場合があります。
  • 反社会的業種でないこと
  •  守 秘義務能力があること→ 守秘義務能力に疑義のある会社もありますが、そのような会社への提案は情報漏洩の引き金となります。
  • 買収資金の調達能力があること→ 資金調達能力がないにもかかわらず交渉が進んだ場合、売り手企業・買い手企業・アドバイザー全ての労力が無駄となってしまいます。金融機関の場合には 、初期段階で当然に資金調達能力に関する調査は行っているだろうと顧客に推察されるので、特に注意が必要です。
  • 買収後、経営を引き継ぐ資力・人材があること→ 経営資源、経営能力がなければ、M&Aは実行できません。
  • 経営ノウハウがあること
  • 経営者が信頼できる人物であること

案件化の流れ

案件化とは以下のような一連の流れのことをいいます。以下にその各段階を個別に説明します。

  1. 資料の収集
  2. 「企業評価書」の作成
  3. 「ノンネームシート」および「企業概要書(買い手企業候補先が一次的な検討を行うためのもの)」の作成
  4. 企業評価の結果と売り手企業社長の希望条件との擦り合わせ
  5. 提案候補先複数社のネームクリア

1資料の収集

企業評価書・企業概要書作成のために必要な各種資料を提出してもらう作業です。この作業は、売り手企業と仲介機関との間でやりとりが行われます。

仲介機関としては、売り手企業の情報をくまなく知っておく必要があるため、かなり詳細な資料まで要求することになります。

売り手企業の社長にとっては仲介機関が要求する資料を従業員に知られずに集めるのは大変な労力と神経を使うため、メンタルケアも行いながら資料を集めてもらうことが重要です。

必要資料の一覧は下記の〔図表2〕のとおりであり、必要な段階において各種資料を収集します。

〔図表2〕必要資料一覧

Ⅰ  概要会社案内
定款
会社商業登記簿謄本
株主名簿
Ⅱ 財務決算書3期分(勘定科目の内訳明細付)、直近の築地由光試算表
法人税申告書3期分
法人税、事業税、消費税申告書3期分
直近の税務調査関連資料(修正申告書、更正通知書など)
土地(借地)台帳
10減価償却資産台帳(最新分)
11固定資産税評価証明書(最新分)
12土地・建物の登記簿謄本(最新分)
13事業計画(今後3期分の予想売上げ・利益・設備投資等)
Ⅲ 営業14製品・サービスのカタログ
15店舗・事務所の概状(所在地・人員数等)
16採算管理表(部門別・商品(製品)・別・取引先別等)
17販売内訳(部門別・商品(製品)・別・取引先別等)
18仕入れ内訳(部門別・商品(製品)・別・取引先別等)
Ⅳ 人事19組織図
20主要役員・部門長の経歴書
21従業員名簿
22社内規定(特に就業規則、退職金規定、賞与規定)
23給与台帳
Ⅴ 契約24取引期本契約書
25生産・販売委託契約書
26土地・建物賃貸借契約書
27リース契約書一覧
28保険契約一覧
29担保不動産明細表
30連帯保証人明細表
31株主間協定書
32その他経営にかかわる重要な契約書
Ⅵ 許認可33許認可証
Ⅶ 全般34インタビューシート

必要資料の最後に記載されている「インタビューシート」とは、企業の定性情報(経営理念、顧客の特徴、業界動向、今後の課題、投贈亂社員のやる気、労働組合の有無、係争問題など)を社長に確認するためのものです。〔図表3〕インタビューシート以外の客観的な資料も確かに重要な資料ですが、インタビューでしかわからない事項もたくさん存在します。

これを体系的にまとめたものがインタビューシートです。

ただし、M&Aに必要な資料は個別の案件の具体的な中身によって異なってきますので、スキームに必要な資料を想定しながら必要な資料をなるべく一度に確認してください。

〔図表3〕インタビューシートの内容

代表者のプロフィール売上債権の不一致
主要製品・サービス内容貸付金・回収懸念債権
業界情報在庫状況
会社の特徴・課題設備関係
株式・株主の状況保険関係
役員・キーパーソンの状況仕入債務関係
グループ会社の状況財務制限条項・外貨建取引・デリバティブ
部門の状況知的財産権
従業員数推移税務・会計問題に関する確認
労務管理の状況株主の異動
給与・残業代・社会保険M&Aの法的影響
従業員賞与の支給状況製品リスク
従業員退職金制度の状況訴訟事件等
役員退職金制度の状況環境問題・対策
労働組合の状況コンプライアンスリスク
顧問・コンサルタントー覧保証明細
業績管理の状況オーナー—族からの賃借
経営トピック•将来見通しオーナー—族への賃貸
主要取引先との取引内容と回収条件その他オーナー—族との取引
主要仕入先・外注先との取引内容と支払条件グループ相関図
直近年度末の資産負債残高について土地の状況
法務関係建物の状況
現預金の不一致 

2企業評価書の作成

企業評価書の作成は別途詳細を記載いたします。

(3)企業概要書の作成

ここでは、⑴および( 2 )で収集した資料.データから買い手企業候補に対する企業概要書を作成します。

提案書の中身は、「企業の概要」から始まり「取引先・仕入先の状況」「従業員の状況」「譲渡理由」「比較財務諸表(3期分程度)」「譲渡希望条件」「期待されうるシナジー効果・買収メリット」などを簡潔にまとめ、投資判断が行えるように整理しておく必要があります。

(4)企業評価の結果と売り手企業社長の希望条件との擦合せ

第三者、すなわち仲介機関などが公正に評価した企業価値を売り手企業の社長に率直に伝え、希望の譲渡条件との擦合せを行います。

売り手企業の社長の希望条件は、会社への思い入れから自身で高く評価する傾向にあり、この段階で交渉の基準となる企業価値に納得してもらうことも仲介機関の重要な仕事です。

高い条件を維持したままで相手候補先の探索に移れば、相手先との条件交渉が折り合わない可能性が当然に高くなります。

仲介機関の評価額と経営者の希望譲渡価額に乖離がある場合、納得してもらうのは大変ですが、ここでまず売り手企業の社長を説得することが仲介機関としての仕事の第一関門といえます。

社長に納得してもらうためには、これまでのプロセスにおいてプロとしての仕事をしていると評価してもらうことが重要です。

そのようなプロセスを経て信頼関係を築く必要があります。

もちろんここでいう仲介機関の評価 額はM& Aの交渉の基準となる価額であって、最終的な売買価額と一致するとは限りません。

しかし、仲介機関はその経験から適正な評価を実施し、売り手企業の社長の意思決定に資する情報を提供しなければなりません。

(5)提案候補先複数社のネー厶クリア

相手 候補 先を絞り込む際には 、ま ず売り手企 業の社長 に複数 の候補 先を提示 (ロングリスト)し、打診・提案の可否を確認します。

候補先のなかに取引先などが含まれる場合、社長としては提案して欲しくないと考えている会社が含まれることがあるからで す。

この 段階 で、 きち んと 提案 の可否 を確認 して おか ない とト ラブ ルに 発展 ナ7可能性があるので怠ってはなりません。

また、候補先は多ければよいというものではありません。

企業を特定できないよう細心の注意を払いながらの提案ではあるものの、当然のことながら提案先が多くなれば情報漏洩のリスクも高まるからです。

このプロセスを通じて候補先企業を10社程度(ショートリスト)に絞り込んで随時提案していくことになります。

具体的な提案内容等に関しては、次節以降でその詳細を述べます。

案件化は中少企業M&AICおける重要なステップこれらの案件化作業はいわば、中小企業M&Aの仲介機関特有のステップです。

上場企業においては有価証券報告许など、公認会計士による監査証明済みの正確な情報を簡単に入手できますが、中小企業においては通常監査法人などのチヱックを受けた正確な资料は存在しません。

そこで仲介機関による案件化作業が必要になってきます。

仲介機関は買い手候補の企業に提案する前の段階で、売り手企業の企業評価を含め、業界動向などあらゆる面でリサーチを完了しておかなければならないのです。

案件化作業には一定の時間と労力を要するため、一見遠回りのように感じられるかもしれませんが、きちんとした案件化は、後々のM&Aプロセスの速やかな実行に大きく寄与するため、大変重要なステップです。

以上が、会社を売たいと思い始めてからの初期ヒアリングから売却案件化までの流れになります。